Pro Tools 講座 – 番外編 – Track Commit 時にConsolidateされる問題

AVID Pro Tools 講座 – 番外編 – Track Commit 時に Consolidate される問題
今回の講座テーマ:Track Commit 時に Consolidate される問題
講座作成日:2024年08月12日
講座作成に使用したコンピュータ環境
Apple MAC Studio M1 Max, 32GB (2022)
13.6.7 Ventura
Pro Tools Ultimate 2024.06
Mac OS は英語に設定されています。Pro Tools も英語で進めます。
Track Commit 時に Consolidate される問題
今回のテーマは、Pro Tools の Track Commit 時に Consolidate される問題を取り上げます。
原因と解決方法についてご紹介します。
Pro Tools には、Track Commit 機能を使ってトラックにかけたプラグインをオーディオに直接適用できるプロセスが存在します。
機能自体はよくある機能なのですが…
Pro Tools の Track Commit には若干の問題があります。
(バグではなく、Pro Tools Track Commit 内部処理の問題です。まあバグといえばバグとも言えますが…)
特定の状況で、下の画像のように複数のクリップがある場合、Consolidate Clip を Commit 時に明らかに無効にしたにもかかわらず、勝手にくっついて出てくるという現象が発生します。

上記のような現象は、明らかに無効にしているにもかかわらず、たびたび発生します。音楽分野ではなくポストプロダクション分野で活動されている場合、相対的に Commit する機会が多いため、より頻繁に目にすることになるでしょう。
発生原因
これは、Pro Tools が内部的に Track Commit を処理する際、各クリップを判断する要素として、単純に見た目のクリップの長さや指定した選択範囲だけでなく、-144dB という条件が追加されているためです。
これはプラグインによる Audio Tail などのために、このような条件が設けられているようです。正確なところはわかりません。
(おそらく上記のような要素でも Entire Selection の範囲をチェックしているのではないかと思いますが…)

上記の条件により、実際に影響を与える要素はトラックにかけたプラグインです。
上の画像は複数のプラグインでテストした結果であり、プラグインごとに結果が多少異なることがわかります。

特定のプラグインでは完全に一つにくっついて出てくる場合もあり、特定のプラグインでは少し長く出てくる場合もあります。




実際に目で見ても、耳で聴いても無音ですが、アナライザーで分析すると残留物が存在します。
Saturn の場合は徐々に減衰し、カットされた地点で -144dB になるようです。
ご覧のとおり、-144dB より高い -110dB として検出されており、該当区間を3つに分けて再測定すると徐々に減少していくことが確認できます。
Oxford Dynamics は実際のデジタルコンソールをエミュレートしているためか、かなり高い値が検出されています。(その後、他のエミュレーションプラグインを試すと、ほとんど同様の結果が出ます)
場合によっては、Delay Compensation をオフにするとこの現象が軽減されますが、理由はわかりません。(完全には解決しません)
これによる問題点
音楽制作レベルであれば、数百・数千個のファイルを一つのトラックで扱うことも少なく、多少くっついていても大きな問題にはなりません。本来のタイムラインの位置に正しく配置されていれば、の話ですが。
しかし、ゲームの CV(キャラクターボイス)作業の場合、少なくとも数十個、多い場合は数千個を超えるファイルを処理しなければならず、その過程でこのような現象が発生するとなれば、非常に深刻な事態になります。

このプロジェクトには約1,100個の CV が含まれており、もし Commit 時にくっついて出てきたら…?
一生懸命作業した後、退職届を出したくなるような状態になることでしょう。
解決策
大きく4つの解決策があります。
1 - プラグインの基本ノイズフロアレベル(Noise Floor Level)が -144dB 以下の製品を選んで使用する。
言葉では簡単です。しかし、これを解決するためには複数のプラグインをテストしなければならず、使いたいプラグインが使えない場合もあります。
2 - Track Commit を使用しない。
場合によっては、プラグインの適用を Audiosuite のみで行うこともできますが、それでも結局、トラックまたはクリップに適用した Clip FX、Volume、Pan などさまざまな部分で煩雑な問題が発生する可能性があります。
単純に複数のプラグインを一度に Audiosuite で処理すること自体は難しくありませんが、やや限界があります。
例えば RX の場合、Processing の方法がかなり限定的です。
(クリップごとに呼び出す Clip by Clip 機能は使用できず、Entire Selection - Create Individual Files を通じてのみスムーズに Batch Processing が可能です)
しかしこの場合も、プラグインが前後を聴きながら動作するタイプであれば? Automation がある場合は?
3 - 別の DAW を使用する
Logic Pro X はこのような作業をするうえで非常に悪い記憶しか残っていない DAW であり、Cubase や他の DAW は本格的に使用したことがないため明確な答えは出しにくいですが、Reaper が最も無難な選択肢になるのではないかと思います。
4 - Gate を使用する
実はとても手軽な解決策があります。プラグインチェーンの最後に Gate 系のプラグインをかけてあげるだけです。(もちろんコンソールエミュレーション系の Gate は除く)
それでも Gate は、概ねクローズ時に -144dB 以上の値を示すようで、よほどのことがない限りクリップを正常にカットさせることができます。
ただし、それでも完璧にクリップとぴったり合わせるのは容易ではありません。

Gate をかけた場合と、さまざまな Release 値による違いを確認することができます。

しかし、Gate をかけたからといって、すべての状況で完璧にカットされるわけではありません。

Release 値だけでは限界があり、Threshold 値をもう少し上げる必要があります。

ただし、Threshold・Release 値によっては、このようにセリフとセリフの間の空白もカットされてしまうことがあります。
CV のセリフとセリフの間に無音が存在する場合、リスニング環境や全体の LUFS、元の録音品質によっては、かなりの違和感を感じることになるため注意が必要です。
基本的な録音環境が良く、全体のノイズレベルが低い場合は、このように無音が出ても不自然ではありませんが、全体のノイズレベルが高いほどルームトーン(Room Tone)の影響が大きくなるため、注意が必要です。
おわりに
今回の投稿では、Pro Tools の Track Commit 機能で発生しうる問題点を一つ取り上げました。このように Gate を必ず挿入しなければならなくなると、プラグインを10個かけられる Pro Tools では、Aux や Routing Folder トラックを追加するか、Patchwork のようなプラグイン内プラグイン機能を使って対処しなければなりません。この点がまだ少し残念に感じます。